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ホーニング加工 – ホーニング加工の特徴とホーニング盤を解説

ホーニング加工 – ホーニング加工の特徴とホーニング盤を解説

更新日:
2022/08/31 (公開日: 2020/05/13 ) 著者: 甲斐 智
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工作機械研磨除去加工
     

ホーニング加工は「ホーン」とよばれる回転工具を往復運動させ、加工ワークの内面を精密に研磨する「除去加工」のひとつ。

エンジンシリンダーや軸受・バルブ部品など、自動車業界をはじめ さまざまな精密部品の内面仕上げ で使われています。

この記事では、ホーニング加工の特徴でもある「クロスハッチ」や、ホーニング盤の種類について解説しています。

ホーニング加工について|ミクロンオーダーの精度を発揮するためには、高い技術力も必要になります!
ミクロンオーダーの精度を発揮するためには、高い技術力も必要になります!

ホーニング加工ってどんな加工?

ホーニング加工は、「ホーン」とよばれる回転工具を往復運動させ、加工ワークの内面を精密に研磨する加工方法です。

ホーニング加工:
ホーン仕上げともいう。主として精密仕上げに用いる研削法。
円柱状の回転工具側面に直方体の砥石を数個取り付けたホーンと呼ぶ工具を 用いて穴の内面を精密にみがく。
引用元: 材料用語「ホーニング加工」

ホーンのまわりには、複数のダイヤモンド砥石が取り付けられており、ばねや油圧による内圧で、砥石を加工ワークの内面に押し付けます。

ホーニング加工について|ホーニング加工ってどんな加工?

1ミクロン以下の高い精度(0.005~0.01mm)で、公差がきびしい穴や、真円度の高い穴の仕上げが実現。
リーマ加工NC研削盤による内面研削にくらべ精度が高く、 量産部品の最終仕上げに適しています。

ホーニング加工には、「ホーニング盤」が使われます。

ホーニング加工について|ホーニング加工で使われるホーン
ホーニング加工について|ホーニング加工の仕組み
(写真左)WVN Diam©CC BY-SA 3.0
この画像は、クリエイティブ・コモンズ(CC)のもと再編集されています

ホーニング加工の特徴「クロスハッチ」とは

ホーニング加工について|ホーニング加工の特徴「クロスハッチ」とは

ホーニング加工では、研磨後の表面に「クロスハッチ」とよばれる、網目状のとぎ跡が残ります。
クロスハッチは、20~60°で交差しており、その溝に潤滑油がしみ込むため、シリンダーなどの摺動(しゅうどう)部品の加工に最適です。

ホーニング盤の研磨工程

ホーニング加工について|ホーニング盤の研磨工程
1.荒仕上げ #100~#400の番手の砥石を使い、荒研磨をします。
回転速度を遅くすることで、クロスハッチの交差角度を大きくします。
2.精密仕上げ #400~#800の番手の砥石を使い、精密仕上げをします。
回転速度を速くすることで、クロスハッチの交差角度を小さくします。
砥石の「目つぶれ」に注意が必要です。

ホーニング盤について

ホーニング加工について|ホーニング盤について
縦型ホーニング盤
引用元:Sunnen Products Company

ホーニング盤は、「ホーニング加工」で使われるNC工作機械です。

回転するホーニングの往復運動で、加工ワークの内面を研磨。
大量のクーラント(研削油)をかけながら、低速・低圧力で加工をするため発熱が少なく、精度の高い研磨ができます。

ホーン(工具)は、サイズの調整ができないため、加工ワークの穴径にあわせて、いくつもの種類を用意する必要があります。

英語では、〔CNC Honing Machine〕と表記されます。

ホーニング盤の種類

ホーニング加工について|ホーニング盤の種類

ホーニング盤には、加工ワークのサイズにあわせてさまざまな種類があります。
また穴の内面だけでなく、外面や平面専用のホーニング盤もあります。

  • 内面ホーニング盤
  • 外面ホーニング盤
  • 平面ホーニング盤
  • 歯車ホーニング盤
  • 液体ホーニング盤
液体ホーニング盤とは?
液体ホーニング盤は、砥粒(小さな粒子)と液体の混合液を、圧縮エアで吹き付ける機械です。
複雑な面の表面研磨や、バリとりに使われます。
一般的なホーニング加工とは異なり、サンドブラストに近い加工法です。

ホーニング加工以外の研磨加工

研磨加工には、ホーニング加工以外にもさまざまな種類があります。
砥石や砥粒を使った研磨加工を、いくつかご紹介します。

ラップ加工
ラップ剤をこすりあわせて、ワークの表面を研磨
「ラップ加工」について解説
超仕上げ
砥石を小さく振動させながら、ワークの表面を鏡面研磨
「超仕上げ」について解説
テープ研磨
研磨フィルムを押し付けて、ワークの表面を鏡面研磨
「テープ研磨」について解説
バレル加工
プレスや切削加工でできたバリを、回転させながら除去
「バレル加工」について解説

ホーニング加工とは?まとめ

この記事では、むずかしそうなホーニング加工の特徴を、クロスハッチや研磨工程を通して解説しました。

精密仕上げに欠かせない「ホーニング加工」は、内面研磨にとどまらず、外面研磨や平面研磨でも使われはじめています。
ミクロンオーダーの精度を発揮するためには、エンジニアの高い技術力が必要になります。

本記事が、日ごろの機械加工のヒントになればうれしいです。

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工作機械 研磨 除去加工

この記事の編集者・プロフィール

甲斐 智(KAI Satoshi)
甲斐 智(KAI Satoshi)

1979年 神戸生まれ
多摩美術大学修了後、工作機械周辺機器メーカーの販売促進部門
15年以上に渡り、工作機械業界・FA業界のWebマーケティングに携わる
メーカーでは各種技術専門誌へ寄稿
文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」参加企業

2020年に「はじめの工作機械」を立ち上げ(はじめの工作機械とは

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